笹 公人のコズミック対談



第1回 ゲスト・高橋名人

 
コズミック対談 第1回のゲストは、
1985年〜87年の熱狂的なファミコンブームの時に、
16連射で一世を風靡したファミコン世代のスーパーヒーロー、
高橋名人(ハドソン)です。
「ハートに16連射」(宇宙ヤングwith高橋名人)では、
当時と変わらぬ美声を披露してくれました。


異種格闘技戦
 

  どうも今日は遠路はるばるお越し頂き、ありがとうございます。
     
名人   いやいや。東京も暑いねぇ。
   
 
  ほんとに。地球の温暖化は確実に進んでいますね。
   
 
名人   ところでいつ以来だっけ?
   
 
  えーと、たしか去年の夏、幕張メッセで行われた東京ゲームショーの会場で偶然お会いした時以来だと思います。あの時僕は(※1)プレイステーションのゲームソフトの主題歌の作詞をした 関係で、その曲を歌うアイドルのライブがあるというんで、見に行ったんですけど、ハドソンのブースに名人がいて。
   
 
名人   そうだったね。最初に会ったのはいつだっけ?
   
 
  3年前の夏でしたね。ちょうどその頃、宇宙ヤングの1stアルバムが発売されたんですけど、そのアルバムが超能力をテーマにしたものだったので、超能力研究家の秋山眞人さんの取材に行ったんです。その時に秋山さんが「俺今度、ファミコンの高橋名人とライブやるんだぁ」なんて言っていて、なんて怪しい組み合わせなんだ! 超能力VS16連射の異種格闘技戦が見られるかも知れないと思って(笑)、それで行ったんですよ。
   
 
名人   で、(※2)会場で秋山さんの紹介で知り合ったんだよね。
   
 
  あの時ひさびさに名人の歌声が聴けて、感動したんです。それで思わず「ぜひ宇宙ヤングといっしょに歌ってください!」と言っちゃったんです。そしたら名人は快諾してくださって。
   
 
名人   あの時のライブはね、バックが全員外人ですごく豪華だったんだよ。SPEEDのバックでギターやってた人もいたなぁ。
   


 
  へぇー、そうだったんですか。でも、フロアで踊りまくってた名人の姿は強烈に印象に残ってますよ。
   
 
名人   えっ、踊ってたっけ?
   
 
  それはもう。TRFのSAMの内弟子じゃないかと思うほどの激しいダンシングでしたよ(笑)。
   
 
名人   (笑)
   
 
  でも、その直後に宇宙ヤングは解散していて、2年後に幕張メッセで偶然再会した時に、名人に「曲はまだできないの? 待ってるのに」というお言葉を頂いて、名人覚えていてくださったんだ!と思って感激したんです。実はそのことも今回の宇宙ヤング復活にも関係しているんです。
   
 
名人   そうだったの? まずいこと言っちゃったかな(笑)。
   
 
  (笑)


チョコで部屋が埋まった
 

  高橋名人といえば僕らファミコン世代では、知らない人のいないスーパーヒーロー ですけど、当時のブームをいま振り返ってみてどうですか?
     
名人   あまりに忙しくて、勝手に時間が過ぎちゃうという感じだったね。わけがわからないうちに過ぎちゃった。
   
 
  当時テレビや雑誌で名人を見ない日はありませんでしたからね。睡眠時間はどのくらいだったんですか?
   
 
名人   1日平均2時間半だったね。多い時でユンケルを1日に5本飲んでた(笑)。もうわけがわからない状態。
   
 
  忙しすぎて記憶喪失になったというピンクレディーのエピソードを思い出しますね。
   
 
名人   そんな感じだよ。
   
 
  じゃあ、当時仕事以外で肝心のゲームをやる暇なんてなかったんじゃないですか?
   
 
名人   うん。1時間できればいい方だったね。
   
 
  それで「ゲームは一日一時間」の格言が生まれたとか?(笑)
   
 
名人   もちろんそうだよ!(笑)
   
 
  あはは(笑)。大人の都合で子供の楽しみを奪っちゃ駄目ですよ。
   
 
名人   そんなもんだよ(笑)。
   
 
  (笑)。名人は僕らの世代にとっては、団塊の世代における長嶋さんのような存在だと思うんです。期間は短かかったとはいえ。やはり、あれだけ人気があったら女性にもおモテになられたんじゃないですか?
   
 
名人   いや全然。そんな暇なかったし。9才から10才くらいの女性にはモテたね(笑)。でもあのくらいの年の女の子に写真入りのラブレターを送られてもね。どう反応したらいいのか困っちゃうんだよね。
   
 
  ある種のマニアにはたまらない状態ですね。
   
 
名人   俺がもしある種のマニアだったらとっくに捕まってるよ(笑)。
   
 
  (笑)。じゃあ、バレンタインチョコもすごかったんじゃないですか?
   
 
名人   うん。会社の部屋が埋まったよね。
   
 
  すごい! 当時、(※3)光GENJIとチョコの量を競っていた名人!
   
 
名人   あはは(笑)。
   
 
  でもその後、その女の子たちが大きくなって、加藤あいちゃんみたいにすごくきれいになってて、「名人、ずっと憧れてました・・・」なんて言ってあらわれたらどうします?
   
 
名人   加藤あいちゃんならこないだ会ったよ。
   
 
  へぇー! で、どうでしたあいちゃんは?
   
 
名人   うん、たしかにきれいだと思うけど、僕のタイプじゃないからね・・・。優香ちゃんの方が好きだなぁ。
   
 
  優香ちゃんともお友達ですか?
   
 
名人   まぁね。話しやすくて好きだな。笹君は加藤あいちゃん好きなの?
   
 
  ええ、もちろん。ということは、名人の女性のタイプは痩せ形よりもぽっちゃり 型ですか?
   
 
名人   当然そうだよ! 痩せてる女のどこがいいのよ? 男の68%はぽっちゃり型が好きなんだよ。笹君はマニアなんだよ。
   


 
  えーっ?! そうきましたか!(笑)
   
 
(以下、笹(加藤あい派)VS名人(優香派)の激論バトル約30分間続く)


ホレたぜ!乾杯
 

  当時名人はレコードを出したり、(※4)映画に主演したりと、芸能人顔負けの活躍ぶりでしたけど、もともと芸能界っぽい仕事は好きだったんですか?
     
名人   うーん、あまり興味がないね。ただ良かったことは明菜ちゃんに会えたこと!(笑)
   
 
  中森明菜さん好きなんですか?
   
 
名人   大ファンだよ!
   
 
  じゃあ当時アプローチされたんですか?
   


 
名人   いや。その頃明菜ちゃん、マッチとつき合ってたからね。
   
 
  名人はマッチとも親しいですけど、親友の女には手を出せないというまさに(※5)「ホレたぜ!乾杯」の世界ですね(笑)。
   
 
名人   あはは(笑)。
   
 
  でもまだ明菜さん独身だし、名人も独身だし、いまこそアタックのチャンスじゃないですか?
   
 
名人   いやぁ、高嶺の花は高嶺の花のままにして見てるだけの方がいいんだよ。
   
 
  なるほど・・・。含蓄の深いお言葉。でも今回の「ハートに16連射」では、16連射で撃ちまくれば高嶺の花さえ落ちてくるというフレーズがあるんですけどね(笑)。
   
 
名人   たしかにそうだよね(笑)。でもやっぱり見てるだけの方がいいな(笑)。
   
 
  そんな風にタレントとしても活躍していた名人ですけど、特に印象に残ってるエピソードってありますか?
   
 
名人   うーんとねぇ、当時売れてたアイドルの女の子が雑誌の表紙に出てて、その横に「高橋名人にゲームを教わってます」って記事のタイトルがあった時はびっくりしたね。だって俺さ、その子と1度挨拶を交わしたくらいで、ゲームのゲの字も言ってないんだよ。当時そういうのが多かったな。
   
 
  いかにも芸能界っぽいエピソードですね。


16連射スイカ割り
 

  名人はいろいろな映画に出演されてますけど、僕が1番良く覚えているのが、当時もうひとり人気のあったファミコン名人の毛利名人と対決する(※6)「GAME KING」ですね。あの映画の2人が対決する前の修行シーン、凄まじいですね。座禅を組んだり、指でバイクを止めたり、なぜかドリルで穴を掘ったり(笑)、極めつけは、スイカを16連打で真っ二つに割った映像(笑)。あれは『空手バカ一代』の自然石割りに匹敵する衝撃シーンでした。
     
名人   あのスイカはなかなかうまく割れなくてねぇ、10個くらい失敗してるんだよね。
   
 
  あれは切れ目を入れてたんですか?
   
 
名人   切れ目を入れちゃうとね、まっすぐ割れちゃうからぜんぜん駄目なの。最終的にスイカの中にホースで空気を入れて破裂させたんだよ。
   
 
  そうだったんですか!(笑) 当時のファミコン少年の夢をぶち壊すようなエピソードをありがとうございます(笑)。この際もっとしゃべって頂きましょう。ほかにも当時のファミコン少年の夢をぶち壊すようなエピソードはありますか?キャバクラにはまってたとか。
   
 
名人   キャバクラにはまったのは、あの後かな(笑)。当時は『フォーカス』や『フライデー』につけられてたから、ピンク街を歩くことを会社から禁止されてたんだよ。
   
 
  そうだったんですか! でも、そうでしょうね。「高橋名人 夜も16連射!」なんて記事を書かれたら大変ですもんね(笑)。
   
 
名人   (爆笑)


最近の子供は可哀想
 

  当時の小学生と今の小学生って、遊びの文化という点でもだいぶ違うと思うんですけど、名人もそれを感じますか?
     
名人   うん。それはすごく感じるね。今は情報量が多すぎて、ゲームをやるにしても、どれをやったらいいのかわからない状態でしょう?
   
 
  ええ。
   
 
名人   当時はファミコンくらいしかなかったからね。ソフトも今よりずっと少なくて、どれもまんべんなくヒットしていたから、流行についていくのは簡単だったんだけど、その点いまの子供は覚えることが多すぎて可哀想だね。だからどれも中途半端で終わっちゃうんだよ。
   
 
  なるほど。そんな最近の子供たちですけど、少年犯罪の増加について、名人はどう思われますか?
   
 
名人   いや、あれは親の責任だよね。たとえばさ、やかんでお湯を湧かしているときに「触っちゃだめだよ熱いから」って言うのを、触る前に言うのと触ったあとで言うのどっちかというと、昔は触ってから言ったんだよ。「ほら熱かったでしょ」って。いまって触る前に言うでしょ?
   
 
  そうですね。
   
 
名人   それが火傷も少ないからいいんだみたいな感じになっちゃってるけど、それはおかしい。それは、包丁を持ってて、手を切る前に、「痛いんだからやめなさい」って言うのと、手を切ってから「痛いでしょ」というのといっしょなんだけど、痛みとか熱さがわからないから刺しちゃってもわからないんだよ。相手の痛さを。
   
 
  なるほど。
 


 
名人   自分が痛みを知ってるからこそ、刺されたら痛いだろうなぁって想像できるんだよ。だから最近の子供は限度を知らない。むかしはよく喧嘩したんだよ。喧嘩をするからこそ、これ以上殴ったらヤバイなっていうのがあるんだよ。いまは親も先生も喧嘩をさせないから、いざ喧嘩をしたらどこまで殴っていいかがわからないんだよ。
   
 
  それで死ぬところまでやっちゃう。
   
 
名人   そう。だからみんな経験不足。だから親が悪いんだよ。
   
 
  なるほど。たしかに他人の痛みを想像できないという想像力の欠如がいじめやいろんな問題を生んでいると思いますね。それにしても名人の言葉には説得力がありますね。教育に関しても一家言をお持ちですし、そのうち自由連合あたりから選挙に出たりして。「16連射で日本を変えます!」なんて言って(笑)。
   
 
名人   あはは(笑)。


13年ぶりの新曲
 

  ところで、今回僕らがつくらせて頂いた「ハートに16連射」どうですか?
   


 
名人   いやぁー、こういうのよくつくれるなぁって感心しちゃったね。作詞なんて、こんなのよく思いつくなぁ。
   
 
  いえいえ。
   
 
名人   歌詞も曲も当時のファミコンブームの熱さを感じるよね。
   
 
  ありがとうございます!
13年ぶりの名人の新曲をつくらせて頂くにあたって、名人のこれまでの曲を研究したんですけど、手がけている作家陣がこれまたすごい! いまをときめく(※7)笹路プロデューサーに、巨匠・小林亜星さん、オフコースの鈴木さん・・・とにかくすごく豪華な顔ぶれなので、名人の栄光の歴史に傷をつけてはいけないと思いまして、それが僕らにとってすごくプレッシャーでした。
   
 
名人   そうだったの?(笑)
   
 
  ええ。でも気に入って頂けたようでよかったです!
   
 
名人   「派閥の壁も」とか「恐れず ひるまず」とかのフレーズは小泉総理の影響?
   
 
  そうですね。(※8)ひそかに総理にエールを送ってます。今度やる(※9)「コイズミック番長」って曲はその極めつけかもしれない(笑)。
   
 
名人   いかにも宇宙ヤングらしい曲だね(笑)。今後の活動が楽しみだな。
   
 
  レコーディングよろしくお願いします!
 
翌日のレコーディングより

 
名人   これ、プレゼント(と言って、バッグからビデオテープを取り出す)。
   
 
  なんですか? あっ! 「GAME KING」のビデオテープ!ありがとうございます! これ、すごく欲しかったんです。感激です!今日は長いことありがとうございました。
   
名人   こちらこそ。
 


 
(2001年8月4日 吉祥寺の喫茶店にて)



 


笹短歌

1秒に16回もベルが鳴り高橋名人来訪を知る


 





 

語注

 
(※1)ゲームソフトの主題歌
「砂のエンブレイス」(アイディアファクトリー社)主題歌「魔女かもしれない」(歌・岡本ひかり)

 
(※2)
これがその時の写真。

 
(※3)光GENJI
ローラースケートを履いて歌い踊っていた80年代後期トップアイドルグループ。

 
(※4)映画
「はっちゃき先生の東京ゲーム」(共演は鈴木保奈美など)

 
(※5)「ホレたぜ!乾杯」
作詞:松本隆 作曲:筒美京平
恋愛よりも友情をとるというストーリーの近藤真彦の82年の大ヒット曲。

 
(※6)「GAME KING」
86年公開の東宝映画。同時上映はアニメ映画「RUNNING BOY」

 
(※7)笹路プロデューサー
笹路正徳。スピッツ、the brilliant greenなどを手がける超売れっ子プロデューサー。

 
(※8)
笹公人は、母方の親戚でもある小泉総理を尊敬している。

 
(※9)「コイズミック番長」
宇宙ヤングの代表曲「コスミック番長」の詞を変えたニューバージョン。小泉内閣応援歌。


 

「All About Japan」 CloseUp!記事の
高橋名人インタビューを一緒に読むとおもしろさ倍増です。