説明: 説明: 説明: 抒情の奇妙な冒険 (ハヤカワSFシリーズ Jコレクション) (ハヤカワSFシリーズ Jコレクション)

「抒情の奇妙な冒険」

定価:1,365円(税込)
刊行:2008/03/20
発売:(株)早川書房 
ISBN:978-4-15-208907-6

イラストレーション:とり・みき
デザイン:岩郷重力+Y.S
帯文:山田太一
解説:栗木京子

 

『抒情の奇妙な冒険』15首選

しのびよる闇に背を向けかき混ぜたメンコの極彩色こそ未来
あしひきの山下清におにぎりを持たせたという曾祖母トメは
軒下で裸電球呑みくだすナショナルオオミミズをこのごろ見ない
電流はゲイラカイトを貫いて子どもを光るガイコツにする
泣き濡れてジャミラのように溶けてゆく母を見ていた十五歳(じゅうご)の夜に
16文のリングシューズが鎮座する昭和時代のピリオドとして
ノムラサチヨホソキカズコと唱えれば魔界の数え歌のごとしも 
ジャイアンに追いかけられるのび太たち 春の空き地は昭和の匂い
ごろ寝するニートの上で燃えあがる「はたらくおじさん」の熱気球
虫食いの過去帳にあわれ堀右衛門打ち首とあり誰の前世か
ドンブリを呑むギャル曽根を見つめてる戦争孤児の無数の瞳
ブランコも田んぼも家も昏くなるだいだらぼっちの影に塗られて
そのかみにライダーキックでこしらえた襖の穴をぬける秋風
幽体を剥がしてメールに添付する行きたいとこは聞いてやらない
もう誰もいない地球の凩(こがらし)に舞うポスターのアインシュタイン


帯文

「寺山修司は『架空の私』を、 笹公人は『他人のノスタルジイ』を 手に入れた。」
 山田太一