説明: 説明: 説明: 念力図鑑

「念力図鑑」

定価:本体1260円(税込)
刊行:2005/07/25
発売:(株)幻冬舎
ISBN:978-4344010130

イラストレーション:田中英樹
デザイン:鈴木成一デザイン室
帯文:糸井重里
跋文:小池光

 

『念力図鑑』20首選

尿療法の本立ちならぶ書斎にて出されたビールをじっと見つめる
レコードの針のノイズに味がある父のテープで聴くビートルズ
十二人家族のつくる納豆の大ドンブリのねばりを思え
神棚に祀る写真のアイドルの穢れを知れば写真燃やしたり
修学旅行で眼鏡をはずした中村は美少女でした。それで、それだけ
獣らの監視厳しき夜の森で鏡をはこぶ僕たちの罰
指切りの指のほどけるつかのまに約束蜂の針がきらめく
負傷した西郷どんが昼寝するほの暗き春の保健室なり
体育館のマットの上に着地した記憶は白い頁にありき
自転車で八百屋の棚に突っ込んだあの夏の日よ 緑まみれの
空襲の夜の紅(くれない)にさざめきぬ一升瓶の底の米たち
逆三角にきらめく冬の星群をクレオパトラの下着座と呼ぶ
音楽にたとえるならば今井氏の貧乏ゆすりはジャズだと思う
桃太郎の顔出しパネルに顔を出す元カレの写真見てしまいたり
君からのメールがなくていまこころ平安京の闇より暗し
浜辺には力道山の脱ぎ捨てしタイツのようなわかめ盛られて
青春の傷はときどき疼くからクレアラシルは捨てられずある
まるまると太ったヤブ蚊飛んできてガダルカナルからきたと囁く
ラーメンの湯気の中にはいつだってシャワーを浴びるメーテルがいた
「ブラッシーの噛み付きを見て死んだの」と少女は前世を語りはじめる

 

帯文

「頁の数だけの短編映画を観たような気がする。三十一文字の催眠術だったのか。」
 糸井重里